2015.01-03
豊中市立中豊島小学校では、図工科担当の山口三佐子先生のご指導の元、代々キッズゲルニカ製作に取り組んできました。
キッズゲルニカ実行委員の15名のメンバーたちは、11月から何度も何度も話し合い、キッズゲルニカを作っていく上で大事にしたい2つのことを決めました。それは、「83人の卒業生全員の思いが少しでも入れられること。」と「絵を見てくれる人の考え方も大切にしたい。」ということです。
「83人全員の思い」を大切にするために、あえて下書きを書き込みすぎないようにしよう。そして、色付を一人一人が思い思いに取り組んでもらおうと考えました。
「83人の想いを実現させるために自分たちがいる。」実行委員たちは多目的室が汚れるのを防ぐための床や壁にブルーシートやダンボールで養生をしました。そして、色付をするための絵の具の準備、皆が使った筆や容器を2月の冷たい水で手を真っ赤にしながらもきれいにあらっていました。そうした実行委員達の努力が実を結び、83人全員が一筆一筆、熱中して絵に色を付けていました。「絵を見てくれる人の考え方も大切にする」ために、自由な解釈ができる絵にしていこうと決めました。実行委員たちは平和というものをキッズゲルニカで表現するために、イメージマップを使って平和に対するイメージを皆で共有しました。
そこで気づいたことは、平和というものに対するイメージが一人一人少しずつ違うということでした。15人でこれだけ変わるのならば、100人いれば100通りの平和があるのだろうと気付き、その瞬間に絵の方向性が固まりました。
自分たちの持つ平和のイメージを押し付けるのではなく、自分たちが作ったもので何か少しでも共感してもらいたい。そうやって何度も何度も実行委員たちが話し合って、たどり着いたキーワードが「調和」というものでした。
『世界には多くの生き物がいる。それぞれが自分の考えをもっている。時には協調し、時には衝突もある。そうやって関わりあい、生かしあっている。それらを全てを支えているのが地球であり、世界である。その調和によって、私達人間が生かされている。』
この考えを元に、地球の資源を表す水、地球全ての生物を表す植物、夢や希望の象徴としての光、人の業を象徴する闇の4つを画面の四方に描きました。
その4つが集まることでバランスがとれ、一つの世界が成り立っていることを表すように中心に円を描きました。
そして、タイトルを『世界』に決めました。そうして出来上がった作品を掲示した時、胸がすくように色鮮やかで、何よりも自由でのびやかな作品になっていました。それを見た83人の笑顔と実行委員達の誇らしげな姿が忘れられません。
最後に今回の取り組みの中で、中豊島小学校の全職員の理解と協力を得られたことを大変ありがたく思います。そして、中豊島小学校図工科担当 山口三佐子先生には感謝してもしきれません。山口先生の子どもたちへのご指導とご助言なくしては決して実現することはありませんでした。
中豊島小学校の伝統の一つである卒業制作キッズゲルニカを、長年に渡って牽引されてきたお姿に、畏敬の念を禁じえません。本当にありがとうございました。
また、このような素晴らしい機会と場を与えてくださった国際子ども平和壁画プロジェクトの皆様にも心から感謝致します。ありがとうございました。
場 所 中豊島小学校 図工室、多目的室
参加した子どもたち
中豊島小学校6年生83名 (実行委員15名) ※2015年(平成27年)年3月卒業
主催団体名 豊中市立中豊島小学校